波と岩が描く「Cの刻印」:シーグラスの「傷」が本物の証になる理由(わけ)。

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「傷」が本物の証になる。不思議なシーグラスの世界

シーグラスには、人工的には再現が難しい特徴がいくつかあります。その中でも、国際シーグラス協会(ISGA)が「本物のシーグラス」を見分ける重要な特徴として挙げているのが、「Cマーク(C-shaped Percussion Mark)」です。

これは名前の通り、アルファベットの”C”のような三日月型をした小さな打撃痕のことです。ガラス片が海中で何十年もの間、波に揺られ、岩や他の石と何度も衝突を繰り返すことで生まれます。それは長い年月の中で、数え切れないほどの衝撃を受け続けた「本物の証」なのです。


なぜ「C」の形になるの?

ガラスは硬い素材ですが、強い衝撃が一点に加わると、その力が円を描くように内部へ伝わります。その結果、表面の一部だけが薄くはがれるように欠け、三日月形の跡が残ります。

この現象はガラス工学では「コンクホイダルフラクチャー(貝殻状断口)」と呼ばれる割れ方の一種です。波による衝撃が長年繰り返されることで、特徴的なCマークとして刻まれます。人工的にフロスト加工(曇りガラス加工)を施しただけの「フェイクシーグラス」では、このような自然な打撃痕まで再現することは非常に困難です。


シーマーブルでは特に観察しやすい Cの刻印

ビーチコーミングで見つかるビー玉(シーマーブル)は球体に近い形をしているため、波に乗って転がりやすく、さまざまな方向から衝撃を受けます。そのため、表面には大小さまざまなCマークが現れることがあります。

平らなシーグラスでは見逃してしまうような小さな痕も、丸いシーマーブルでは光の角度を変えることで比較的見つけやすくなります。コレクターの中には、このCマークの美しさや数を楽しみながら観察する方も少なくありません。


「傷」ではなく「歴史」

一般的なガラス製品であれば、傷や欠けは価値を下げる要因になります。しかしシーグラスでは真逆です。

Cマークは、そのガラスが長い時間を海で過ごしてきたことを物語る「歴史の証」。何十年もの間、波にもまれ、岩に当たり、少しずつ角が削られ、ようやく手のひらに収まる現在の姿になりました。その小さな三日月形の跡は、自然が刻んだ時間そのものなのです。


evening calm の想い

シーマーブルの表面に見つかる小さなCマークは、一見するとただの傷に見えるかもしれません。しかし、それは何十年という海の時間が刻んだ、本物だけが持つ特別な刻印です。

当店(evening calm)では、美しく育ったフロスト(曇りガラス状の表面)だけでなく、こうした自然の営みを物語るCマークも、その個体ならではの唯一無二の魅力として大切にご紹介しています。

光にかざしながら、ぜひ一つひとつの小さな痕跡にも目を向けてみてください。そこには、人の手では決して作ることのできない、海だけが描いた長い物語が残されています。